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「お、遥。おめかしして可愛いなぁ。今日から学校だもんな」
「正蔵さん、お帰りなさい。はい。高校に通わせてもらえるなんて夢みたいです。ありがとうございます」
にこにこしながらぺこりと頭を下げる遥に、正蔵の目尻も下がる。
息子の恋人の遥のことが正蔵も可愛くて堪らないのだ。
「涼太はまだかい?」
「青山さんの服装がおかしいって……誠吾さんが着替えに連れて行ってしまいました」
「なるほど……」
確かに涼太のファッションは個性的だからなと正蔵は苦笑した。
涼太に似合っているからまあいいだろうと思っていたが、学校に通うなら少しまともな服を買っておいてやるべきだった。
「涼太は誤解されやすい子だからね。学校で面倒をみてやってくれるかい?」
「僕の方が青山さんにお世話になりそうですけど……。一緒に通えることになって嬉しいです」
嬉しいというのは遥の本心だった。
以前青山を庇って遥が怪我をしたことがあったが、それ以来青山は遥を慕っており、遥も比較的歳が近い青山には気安く色々話せるようになっていた。
その青山と高校で同級生になるというのも不思議な感じがするが、久しぶりの学校生活に知り合いが居るというのは安心だ。
「遥、待たせて悪かったな。青山の支度ができたからそろそろ行こうか」
誠吾に引き摺られて戻ってきた青山は、上等なシャツにスラックスといった品の良い服装に変身していた。
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