第6夜

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「処置は終わりました。傷口は大きかったですが全部縫えました。出血が多くて貧血になっているので輸血を行っています」 「良かった……………」 誠吾が安堵の声を漏らした時、医師は表情を曇らせて言いづらそうに言葉を続けた。 「ただですね、舌の傷はかなり深くて……もしかしたら、話したり食べたりするのは、今まで通りにはいかないかもしれません」 「は………?あ、ああ、暫くってことですよね?」 心臓がどきどきと早鐘を打つ。 話せなくなるかもしれないだと? 食べるのも? 「リハビリで少しずつ良くなるとは思いますが……。気長に頑張りましょう」 病室で遥は眠っていた。 輸血のおかげか顔色は病院に運ばれた時よりかなり改善している。 普通にただ眠っているだけに見えた。 「遥………」 誠吾は遥の柔らかい髪をそっと撫でる。 後遺症など、ないかもしれない。 目覚めたらいつものように笑って『誠吾さん』と、俺の名前を呼んでくれるはずだ。 遥ばかりがこんな酷い目に遭っていい筈がない。きっと……きっと大丈夫だ。 ここは……どこだろう。 遥は重い瞼を開けて真っ白な天井を見上げた。 僕、点滴してるし病院……だ。 そうか……。 生きてたんだ………。 右手に温もりを感じる。 誠吾の大きな手が遥の手を包み込んでいた。 誠吾は遥の手を握りながら、ベッドに突っ伏して眠っている。 あれから一体どのくらいの時間が経ったのか。 島村と山田の安否も気になる。
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