第6夜

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食事も上手く飲み込めずに零すことが多くなり、遥は食べることを嫌がった。 「遥、ほらもう少し食べろ」 昼食を殆ど残す遥に誠吾が食べるようにすすめても、遥は首をふるふると横に振って拒否している。 「いい子だから、な、もう少し」 誠吾がどんだけすすめても遥は食べず、以前よりかなり痩せてきてしまっていた。 心配をかけて申し訳ない気持ちはあるのだが、食べるという作業が今の遥には辛すぎてどうしても食が進まない。 あの時に死んでしまえばよかった……。 食べられない自分を前にして困った顔をする誠吾を見ると、生きているのが申し訳ない気がしてならない。 ごめんなさいと言いたくても、言葉が上手く出せなくて伝えられない。 悲しくて遥の瞳からは涙が零れた。 泣いてしまった遥を見て、誠吾は狼狽える。 「すまん。無理強いして食べさせる気はないんだ。そんなに嫌だったか?」 そうじゃない。 誠吾さんにそんな困った顔はさせたくないのに。 遥は泣きながら誠吾の手を握った。 誠吾はその手を力強く握り返して遥の頭を優しく撫でた。 誠吾さんの手は温かくて…安心する。 こんなに泣いて、誠吾さんに迷惑ばかりかけていては駄目だ。 もっとしっかりしないと。 リハビリも……苦しいけどもっと頑張って、早く……早く良くならないと。 遥がそう思って涙を拭いた時、病室のドアがノックされて山根が中に入って来た。
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