第6夜

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午後のリハビリで遥が病室を出て行くと、誠吾は山根に頭を下げた。 「山根、本当にありがとな。ホワイトボードとか、俺には思いつかなかったわ」 「尾崎君、痩せましたね。話すのも食べるのも、まだ難しいのですね……」 「リハビリ、泣きながら頑張ってるんだけどよ。見ていて俺の方が辛くて……な」 しょんぼりと肩を落とす誠吾の背中を、山根は思い切りバシッと叩いた。 「痛っ。何すんだよ急に!」 「しっかりして下さい。リハビリで辛いのは尾崎君でしょう?ボスが落ち込んでどうするんです」 おー痛いと背中を擦りながら、山根なりの気遣いに誠吾は感謝していた。 「山田ってガキはどうだ?」 「下働きで使ってみてますけど、根性はあるしなかなかの拾い物ですよ」 山田はヤクザになりたいと、最初は羽鳥組の門を叩いたのだ。 そこで出会った悟派の者に、組に入る条件として、まず高校に潜るよう指示をされた。 何のために高校に通うのか分からなかった山田だったが、あの日ヤクザに送迎される遥を見て、その理由を悟ったのだ。 遥に手を出すのが組に入る条件なら、自分は手を引く。遥にも警告すると山田が言ったことにより、拉致されて拘束される羽目になってしまった。 その山田を誠吾が拾ったのだ。 遥を助けようとしたなら悪い奴ではないと思えたからだ。
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