第1夜

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目つきの悪さと頬の傷はあるが、服装でカタギの男性に見えないこともない。 「青山さん、素敵ですよ。よく似合ってます」 「変じゃないですか?なんだか全然落ち着かないんですけど……」 普段とは違う洋服に、青山自身はこれが自分に似合っているとは思えない。 こんな軟派な服を着たことがなく、自信が持てなかった。 「涼太、すごく良く似合ってる。格好いいよ」 正蔵がにこにこしながらそう言うと、青山の頬はみるみる赤くなった。 「し、正蔵さんがそう言うなら……」 「本当に格好いいな。誰かに言い寄られるのではないかと心配になるよ」 「それはないです!あったとしても、俺には正蔵さんだけです!」 また二人だけの世界が始まったと、誠吾は遥の手を引いてその場を離れた。 「全く……相変わらず息子の前でイチャイチャしやがって……」 「お二人共、仲良くて素敵ですね」 素敵と言っていいのか……。 親父は仮にも組長なのだから、人前で一回りも二回りも歳下の恋人にデレデレしないでほしい。 誠吾は自分のことは棚に上げてそんなことを思う。自分だって人前で遥とイチャイチャしていて、よく山根に叱られているというのに。 「でも、そろそろ出ないと遅刻しそうですね」 遥がそう言った時、青山が慌てて玄関まで走ってきた。まだ顔が赤いところを見ると、正蔵と何をしていたのか想像できる。
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