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「………分かりました。では退院を許可しましょう」
遥はくしゃくしゃに顔をゆがめて笑った。
帰宅すれば、また迷惑をかけてしまう。
それでも誠吾達が、自分の退院を後押ししてくれたのが本当に嬉しかった。
「あ、り、が、と」
「よかったな遥。一緒に家に帰ろうな。あ、帰ったらちゃんと飯は食べないとダメだぞ」
うんうんと遥は大きく頷く。
家に帰れる。
誠吾と、皆の暮らす自分の居場所へ……。
遥が退院することになり、正蔵は組員達を集めて話をした。
遥は言葉が不自由なので困らせないこと、まだ安静が必要なので働かせないこと等の注意事項を話していく。
皆、真剣な顔をして頷きながら聞いていた。
「悟の奴……姐さんを何度も酷い目に遭わせて、逃げてるなんて許せない」
「仮釈放中だったからな、警察も血眼になって探してるからそのうち捕まるだろう」
悔しがる青山を正蔵が宥める。
正蔵とて悟は許せない。
たどたどしくしか言葉を話せない遥を見て、あの時正蔵も泣きそうになってしまったのだから。
「とにかく、遥が帰ってきたら笑って迎えてやろう。な?」
「はい……そうですね。姐さんは……いつも笑顔ですもんね」
荒井の運転する車で、誠吾に付き添われた遥が帰宅した時、組員達は総出で門から並んで遥を出迎えた。
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