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「「おかえりなさいませ!!」」
車から降りた遥は、皆に一斉に頭を下げられ、一瞬戸惑った顔をしたがすぐに笑顔になった。
「ただ、い、ま」
にこにこと挨拶をする遥を見て、組員の中には嬉しくて泣き出す者も居た。
マツが飛び出してきて遥に抱きついてよしよしと頭を撫でる。
「おかえり遥ちゃん。よく無事で戻ってきたね……」
「ま、つ、さん」
ゆっくりとした遥の口調に、マツはぽろぽろと涙を流した。
遥はにこにこしているが、後遺症は重いのだと、その声を聞いてハッキリと分かってしまったのだ。
「よく頑張ったねぇ。偉かったね。家の事はアタシに任せてゆっくり療養するんだよ」
「は、い」
遥はマツの頬に手を伸ばして、流れる涙を拭った。それはとても温かくて、自分が愛されているんだなぁと思えて嬉しかった。
「疲れたろう。ほら、横になって」
久しぶりに誠吾と暮らす部屋に戻って、遥はベッドに横になった。
誠吾の香りがするベッドは安心できて、帰ってきたんだなぁと実感する。
「せ、い、ご、さん」
「何だ?」
遥はちょいちょいと誠吾を手招きした。
頬を赤らめながらさらさらとホワイトボードに文字を書く。
『久しぶりに、しませんか?』
「ば、馬鹿。退院してきたその日にそんなことできるかよ。安静にしろって言われたろ?」
『誠吾さんは僕としたくないのですか?』
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