第6夜

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俺なんかと付き合ったせいで……。 俺と付き合わなければ悟に目をつけられるのともなく、平穏な人生を送れたのかもしれない。 何度も命の危険に晒されることもなく、カタギの人間と幸せに……。 遥が誰か別の人間と幸せになどと想像しただけで、誠吾の胸が締め付けられた。 無理だ……。 自分はもう遥を手放すことなどできない。 遥無しでどう生きたらよいのか、分からない。 「ごめんな遥……。面倒な男に惚れられて…」 誠吾が遥の額に優しくキスを落としても遥は起きず、幸せそうな顔をして眠っていた。 黒川の家で療養するようになって、遥は見違えるように元気になっていった。 マツや組員達が作ってくれた食事を残すのが申し訳なくて、頑張って食事をとったおかげで体重も元に戻りつつあった。 することがないので自主的にリハビリを頑張り、言葉もかなり話せるようになってきている。 「たいくつ、です」 ベッドの上で手持ち無沙汰に本を読んでいた遥だったが、見舞いに来た山根にぽつりと本音を漏らした。 「そうじとか、料理とか、したい、です」 起き上がって少し何かをしようとすると、誠吾や組員達が飛んできてベッドに戻されてしまう。 大事にされるのは有難いのだが、体の怠さもなく元気なのでとにかく暇で堪らなかった。
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