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「ゲームでもしたら如何ですか?最新のゲーム機でも買ってきましょうか?」
遥はふるふると首を横に振った。
誠吾にもゲームを勧められて、携帯のゲームに挑んではみたが、どうも自分には向いていないと思う。
「では、勉強でもしたら如何です?学校をずっと休んでいるから、勉強が遅れているでしょう?」
「学校、には、もう戻れない、から」
自分が学校に行きたいと言ったばかりに、あまりにも多くの人を巻き込んで危険な目に遭わせてしまった。
もう学校には戻れないと、遥は諦めていたのだ。
寂しそうな顔をして笑う遥に、山根は眉を顰めた。
この子は……。
したい事もしたいと言えず、すぐにこうして諦めて自分の気持ちを殺してしまう。
学校に行ってみたいと言うのは、初めての尾崎君の我儘だったのに…。
「それで、貴方は納得しているんですか?」
「仕方ない、です。あんな、騒ぎになって、たくさん、迷惑もかけて……。学校は、もう、いいです」
ゆっくりと話す遥は、無理をして笑っていた。こんな時でも周りを心配させないように、黒川に戻ってからもいつもずっと笑っている。
「それは尾崎君の本心ですか?本当は学校に戻りたいのではないのですか?」
山根の言葉に、遥は俯いて黙ってしまった。
それだけで遥の本心では、学校に戻りたいのだということが分かってしまう。
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