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そう反省していると、榊がヘラヘラと突飛な提案をした。
「な〜、先輩達お腹すいてないっすか? みんなでごはん食べにいきましょ」
「榊は今帰ってきたばっかりでしょ」
すかさず加賀山がぴしゃりと跳ね除けるが、榊は全くめげない。
「え〜、だってお腹空いたんすもん! 戻って来たらちゃんと仕事するんで、今の時間ならカフェテリアも空いてるし!」
ねぇ宗先輩、と榊が俺に振る。俺はあるフラグが立ちつつあることを察知し、慄いた。
――これ、食堂イベントじゃないか?
食堂イベントというのは、転校生が生徒会と初対面を果たし、なんやかんやで気に入られ、なんやかんやで会長にキスをされたりする、お馴染みのあれのことだ。
ちなみに、俺自身は転校生総受け合戦に名乗りを挙げるつもりはないので、当然関わるつもりはない。あくまで外野として楽しむつもりだ。
問題は生徒会長の梅谷、
本人はバレていないと思っているがアイツは腐男子だ。言動が物語っている。
本当は「気に入ったぜ、俺のものになれよ……」などとを言いながらキスの1つでもする会長がいれば他の攻め達の気持ちも盛り上がるのかもしれない
が、そこまで体を張る奴ではないし、というか普通に転校生も嫌だと思う。あんなん現実でやったら頭おかしいだろ。親衛隊も荒れるだろうしな。アイツは誰かを傷つけてまで己の萌えを優先するつもりのない、道徳とモラルを尊重するオタクなのである。
とは言っても食堂イベントは発生させたい。人の迷惑にならない範囲内で欲望に忠実なオタクの俺は、榊の提案に乗ることにした。
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