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「そうだなぁ、全員で行くか」
「渡辺」
あんまり甘やかすな、という視線が、皆のママこと加賀山から送られてくる。だが今日の俺はそれくらいでは自重しない。
「お前も少しは休憩した方がいいだろ」
そもそも、風紀室に1番早く来ていたのは加賀山だ。時間通りに来た俺よりも随分前からいたようだったし、一度休憩したほうがいい。
それに俺は食堂イベントが見たいのだ。転校生が一匹狼や爽やか系クラスメイトや生徒会や風紀やホスト教師にワチャワチャされるのが、どうしても、見たいのだ。
そんなオタクとしての強い気持ちが届いたのだろう。加賀山は俺のまっすぐな視線から目をそらすと「…………仕方ないな」と呟いた。後1人だ。
「アンタは?」
「まだ居たの……」
「っ、おれもいく~!」
チャラ男会計お前がいなきゃ始まらないぜ、急いで立ち上がった中条を見て俺は内心で二度目のガッツポーズをブチ決めた。
「わ〜い! 先輩大好きー!」
ぎゅ、と榊が腕に飛びついてきた。末っ子からの純粋な愛情表現に頬が緩む反面、俺はこんなに可愛い弟分でホモ妄想をしようとしているのか…………と罪悪感が湧いてくる。まあいいか。誰にも迷惑かけてないしな。切り替えの早いオタクの俺は「じゃあ行くか」と榊を腕にくっつけたまま歩き出した。
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