天醜爛漫

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天醜爛漫

 志木観(しきみ)邸からの帰り道、足元に蝉が落ちてきた。  腹を見せてジジ……と弱々しく鳴き、生命の残り火を燃やすそれを、うっかり人の姿に重ねてしまう。足を止め、ぼんやりと眺めていると、やがて蝉は動かなくなった。  どれだけの時間が経ったのか。餌を見つけた蟻が、忙しなくその周りを歩いている。蝉だった物は蟻達に連れ去られた。  ───これは先触れ。
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