✤✤珈琲のひと✤✤

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✤✤珈琲のひと✤✤

今日も あの場所に 「珈琲のひと」が やってきた。 いつも手にしている 珈琲がふたつ。 ひとつは、ブラック。 ひとつは、ミルク。 大事そうにふたつの ペットボトルを 抱きしめて、 彼はいつもの 場所に腰を掛ける。 ゆっくり笑いかける 笑顔が やさしくて 時折 ふせる目線を 見つめたくて、 何を感じてるのか、 のぞきこみたくなる。 でも、わたしは、 その視界に入ることは できなくて、 うつむいた彼に声を かけることも、 できなくて、 いつものように、 ゆっくり沈んでいく 夕日に照らされる彼を ただ見つめるだけ。。 声を聞きたいな、、、 という この気持ちは、 たぶん、 ずっと叶うことは ないんだろうな。 ふと気がつくと 隣に神父服を着たパパがいて、 「いつもの彼は帰ったかい?」 と わたしに聞く。 「うん。 ちゃんと 彼女さんと お話できたみたい。」 「そろそろ、墓地の 入口を閉めておいで。 ママがご飯って呼んでたよw」 「うん。。」 夜の静けさがゆっくり拡がる。 十字架に祈りを捧げる時間は 終わり。 「あ。パパ? お財布、届けてくれた?」 「あぁ、 ちゃんと彼の手元に戻ると 思うよ。」 「。。よかった、」 いつもの場所に落ちていた お財布ひとつ。 見ていいのかな。。と 思いながら、 開いた中にあったかわいいメモ 綺麗な文字で ひとことだけ、 書かれていた 「好きだよ」の言葉 声をかけたいと 思ったけれど、 声をききたいと 思ったけれど、 天国の彼女さんを 思い続ける彼に わたしの入る隙間 なんて、きっとない。 声を聞くことだって きっとない。。 聖地の入口を閉め、 空をみると キレイな星が ひろがっていた。 「お財布、、 彼のもとに帰りますよ」 彼はきっと喜ぶ。 彼はきっと笑う。 また、 あの場所にくる彼の うれしそうな笑顔をみたいな。。 と思ったけど、 ちょっとだけ、 せつなくて 泣きそうになった 女の子のお話 ( おわり ) 2020/2・23㊐
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