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その一連のことが、私にはまるでスローモーションのようにゆっくりと流れた。ああ、やっぱりやるしかないのねって思った。
私はキュッと口角を上げると、部屋着のハーフパンツのポケットから催眠スプレーを取り出して、素早くタケの顔面に吹きかけた。
ドサッ、と、鈍い音。
ナイフを持ったタケが私の眼下にうつ伏せに倒れ込んだ。
「残念でした」
顔は砂に埋まり、息ができているのかどうかも分からない塊へ、一方的に言葉を落とす。
「知ってたよ? 私。タケが2年前からサユミと二股してたことも、私が邪魔になったから殺して海に捨てようとしたこともね。ふふっ」
催眠スプレーをポケットに戻し、ナイフを塊のズボンのゴムに挟み入れた。その両足を掴んで海へと引きずっていく。重たいけれど、どうにか動かせる。
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