ひみつ

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「ふふっそれでここに? 懐かしいなぁ。よくここでデートしたよね」 自転車は2人乗り。もちろんタケが漕いで、私は後ろにお嬢様座り。速いよ、なんて言い訳してタケの背中に抱きつくの好きだったな。 セーラー服と学ラン姿でこの海岸に来て、青春ごっこだあ、なんて、ローファーも靴下も脱ぎ捨てて裸足で駆け回ったよね。 あの頃の思い出は、今も心の底の宝箱の中でキラキラ輝いてるよ。 「ああ」 タケは真っ黒な絵の具のような海を静かに見つめて相槌した。 寄せては引いて、引いては寄せて。 海沿いのこの田舎町は深夜に出歩く人なんていないから、ザザン、ザザンって波の音だけが繰り返し響いてる。
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