1人が本棚に入れています
本棚に追加
十五年前、私たちは住処を追われた。
住処は汚染し、とてもじゃないが暮らせる場所ではなくなってしまった。
王である私は仲間や民たちを引き連れ、生活のできる環境を求め、移動した。
そこにはか弱い人間という生き物がたくさん暮らしていた。
彼らは私たちを恐れ、距離を置き、無知故に愚かな噂話をいくつもした。ある時は攻撃すらしてきた。
彼らは小さく、弱く、とるに足らない存在だったが、大勢でかかってこられると厄介だった。
……もうやめてくれ。ほっといてくれ。私たちは静かに暮らしたいだけなのに。
私たちの意思は届かず、彼らは怯えた目でこちらを見て、被害者面で喚く。
恐ろしい怪物たちだ!近寄らないでくれ、なんで迷惑なんだ!
それでも両者がある程度の距離を保ち、ようやく落ち着いて生活ができると思った時、勇者が生まれた。
勇者は恐ろしい力を持った仲間たちと共に旅をし、私の大切な民たちを殺してまわった。そしてついに我が城へと辿り着いた。
「これが最後の戦いだ。……負けられない戦いだ。皆のもの、私に力を貸してくれ。誇りと、安寧のために、一緒に戦ってくれ」
きっとこれはよくあるはなし
最初のコメントを投稿しよう!