逃げられない

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 気が付けば、俺は無意識に屋上の扉をこじ開けて外に出ていたようだ。  妙に身体が軽く、俺は鉄柵の外側で大の字になり高らかに叫んだ。 「どうだ!俺の勝ちだ!」  すると強い風が俺の身体を揺さぶりその勢いで足を滑らせてしまう。そのまま俺はビルの壁と平行し、頭を地面に向け垂直落下していった。  しかし落下中、俺は死の恐怖を微塵も感じていなかった。今までギリギリで回避してきたんだからきっと今回も俺は回避できるはず。  そして。 「おいっ!人が落ちてきたぞ!」 「きゃー!!」  その叫び声は微かに俺の耳に届いてきた。でも何故だろう、目の前が暗闇だ。  あれ?首が熱い。  俺は頭部を砕き、首を一八〇度回転させていたようだ。  やっぱり、幽霊からは逃げられないのか。
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