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この影響で電車は遅延し、朝の通勤ラッシュに大打撃を与えてしまった。監視カメラ映像から、不慮の事故である事が証明され、いたずらだと疑われずに済んだ。
そしていつもより少し遅れて会社に到着すると、オフィスはどこか暗い雰囲気だった。
「どうしたんですか?」
「さっきね、村野くんが通勤中に高速道路で事故に遭ったと連絡があったの。それでその・・・即死だって」
「な、なんだって」
話によると、村野はバイクで通勤しており、走行中に緩やかなカーブでバランスを崩して転倒。しかもその勢いで何故か頭が吹っ飛んでしまったそうだ。
どう転んだら頭が飛ぶんだよ。これは、幽霊の仕業に違いない。
そのとき俺は確信した。あの時の出来事が、俺たちに災いをもたらしたのだと。そして次は俺の番だと。
俺は死んでたまるか。まだ彼女もいないし出世もしていない。未練が多すぎる。
仕事は集中できず、しかし何事もなく終えることができたが、見えない刺客は襲ってきた。
会社から駅へ向かう道中、街頭の明かりと至る所にある看板のネオンライトを頼りに歩いていると、突然閃光が眼を焼き付け視界を奪った。同時に甲高い摩擦音と共に何かが迫ってきた。
「く、車が!!」
誰かがそう叫び、それに気が付いた俺は咄嗟に飛び避ける。すると車が物凄い勢いでガードレールを破り、建物に突っ込んだ。
車は原型を失うほど大破してしまい、その時中にいた運転手の男と目が合ってしまった。
頭から多量の血を流し、瞬きもせずこちらを見ている男はすでに息絶えている様子であった。
俺はその場で完全に腰を抜かし、その場から動けずにいた。
車がもし、俺に直撃してたら即死だったかもしれない。いや、確実に即死だ。
今日一日で二回も命の危機にさらされ、俺はさらに不安に襲われた。
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