ウィークエンダー・ラビット ~スクールバスの怪談~

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その女性は、太っていることと、背が高すぎることを気にしています。 でもウエストはダイエットに成功してくびれてるし、背の高さは存在感あるし。 つまり、グラマスな美人。 すなわち、某動画投稿サイトで歌動画を投稿するのに、まったく問題ない。 だから、気にしなくて良いと思うんだけどな。 「思い切って話すよ〜♪ 悪くとらないでね……」 その美女、月島 綾香さんの名曲は響き渡る。 明るかった歌声が、憂いを帯びていくところが、とってもスムーズ! ああ、なのに何で我がハテノ市立ハテノ中学校の空き教室は美しくないんだ。 古くて傷ついたフローリング床と、端につまれた使わない椅子と机。 掃除はしたけど未だにホコリがあるような気がする、見るからにミスボラシイ室に。 日本の義務教育の敗北ではないか!? 「どうしたの、うさぎ。うなったりして」 親友のアンナがのぞき込んでいた。 安凪・トロワグロが青い瞳で。 「え? 私うなってた?」 心配そうに、うなづかれた。 きっと私は青ざめていたんだろう。 うらやましい。
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