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カテリーナは何かを思い出したのか、急にうっとりと瞳を潤ませた。
「でも、ある日とうとう、ニコライ様と二人きりになれる時間が訪れました。それはたまたまだったのです。ほんとうに、偶然に、少しの間。私がお訪ねしたとき、奥様は来客中で、私は引き返そうかととまどっていました。私のことは、召使たちもよく承知していて、気をきかせて中へ通してくれました。そしていつもの気持ちのよいお部屋に私をほんの一時残して、奥様に私のことを伝えるため、席を外しました。そこへひょっこりとニコライ様が現れたのです。
服装などから、出先からふいに戻られたような佇まいでした。
ニコライ様は私をみると、にっこりと微笑まれました。そのにじみ出る優しさ、輝かしさといったら! 私は身を固くして声も出ないほどでありながら、心はとろけるようであったのです。
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