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「それは、どういうことです?」
セルゲイは微笑を返しつつも、内心とまどいながら問いかけた。
「私が、殺したのです。あなたのお父様を」
同じことを、婦人はもう一度、順番を変えて言った。セルゲイは黙っていた。その沈黙の中に拒絶も怒りの感情も混じっていないことを確かめると、カテリーナは語り始めた。
「もう20年前になります。私は17歳の小さな貴婦人でした。私は、深くあなたのお父様を愛してしまったのです。のぼせ上った小娘の気の迷いとは思わないでください。私は本気だったのです。全身全霊をかけて」
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