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セルゲイはようやくお茶に口をつけた。頭の中では必死に記憶の中の若い父の姿を思い浮かべようとしながら。
カテリーナは続けた。何かにとりつかれたように。
「その日から、私の身を焦がすような煩悶の日々が始まりました。それまでは、お友達を求める子供らしさを残していた私が、突如、恋に悶える女になったのです。私はニコライ様に憧れながら、こんなにも恋した人を間近にしながら、それを申し上げる手立てさえない地獄へと堕ちたのです。
私は、セルゲイ様、あなたを気に入ったふりをしました。まるで新しいお人形を手に入れた少女のように振舞って……ああ、機嫌を損ねないでくださいね。事実、あなたはそれはかわいらしい子で、私はあなたのことも大好きでした。
でも、それは、ニコライ様に少しでもお近づきになりたいがためのお芝居でもあったのです。
お家にお邪魔しては、あなたと遊びながら、あなたのお父様が部屋に現れるのを今か今かと待っていたのです。
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