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アレクセイ・ヴァシリーエヴィチの手記
ようやく巡り合えたその人物、マリア・ニコラエヴナは盲目だった。
私よりも十歳年下であるはずなのに、髪には白いものが混じっていた。それでも声は若々しく、来訪した私を歓迎する意思に溢れていた。
「そう、あなたがソーニャのお兄さんなんですね。ああ、確かにソーニャとよく似ているわ。いいえ、私には分かります。光を失った代わりに、音にはとても敏感になりましたから。あなたの声の中にソーニャを感じるわ……」
早速、私は彼女から話を聞こうとした。だが、彼女はこう言った。
「ごめんなさいね。主人があなたの手紙を読んで聞かせてくれた時から、あの時のこと、ソーニャのことを思い出そうと努力したのですけど、今になってもまだ整理がついていないの。だから、先にあなたのお話を聞かせてください」
意外な申し出に困惑しつつ、私は語り始めた。
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