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「この家にも大きな扉がありますね。ここが入り口でしょうか」
ハルは岩壁に沿って私達を導くと入り口らしき場所を示す。幅は二メートル、高さは三メートルはあるだろうか、木製の扉には持ち手はなく強固で重く声をかけても返事はない。打つ手がなく困っていると頭上から鋭い声が降る。
「何者だ」
声と共に岩壁の上から複数の火の玉が落ちてきた。油を染み込ませた布が巻かれた物らしく、雪上に落ちても火は消えずに私達の姿を照らし出す。
岩壁の上にいる人々からは「黒毛狼だ」「人間と一緒だぞ」などと動揺する声が聞こえた。ハルの姿は小さく認識されていないのかロアばかりが話題に上がる。私は耳あてと帽子を取り自身は森の民でありロアは友達だと訴えるが、混乱は収まる気配がない。
「お祭りみたいで賑やかだね」
「その延長で攻撃されたらたまらないわ」
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