城の事情、狼の怒り

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「皆は僕が怖いんだよね」 「怖い……そうだね。そうなるのかな」 「なら僕を縛って良いよ」  ロアはその場に座り込むが周囲は動揺するばかりで誰も動かない。 「僕の扱いは雑で良いんだよ。でもリリィとハルは寒すぎると命にかかわるから、この家に入れて貰わないと困るんだ」 「止めて。皆混乱しているから」  私がロアの前に立つと、彼は「えー」と不満を漏らしながらも口を閉じる。 「騒がせてごめんなさい。私はリリィ、この子はロア。妖精のハルと一緒に旅をしていて泊まる場所を探しているの。この辺りに洞があれば教えて貰えると助かるわ」  
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