やがて花は楽園へ至る

一人と一匹は楽園へ旅立つ

「楽園だなんてロマンを感じるね。家はドロボウが入らないように鍵をかけて、森の広場にいってきますをすれば良いかな。早速出発しようよ」

「急すぎるわ。雪の森をむやみに出歩けば凍死してしまう。準備はしっかりしないと」

　すぐに出発とはいかないがハルは受け入れてくれ、私達は確実に楽園へ辿り着けるように旅の計画を立てる。

　雪の森は長期の探索には向かないが、次の満月から二回目の新月が来るまでの間は季節風で雪雲が流され晴れ間が増える。旅は天候が穏やかなうちに行い安全に帰宅出来るように調整した。

　旅の一番の問題は寒さだ。私は保温効果のある軟膏を多く作り旅に備えた。四肢に塗り込み防寒具を装備すれば凍傷の予防になるうえ、軟膏は火打ち石と相性が良く火種にも使える。他にも飲み慣れた紅茶や愛用のスコップも忘れずに手入れを行う。