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『マスター 私は 』
ピー ピー
耳を突き抜ける警告音が鳴きやまない。
「そろそろ時間だよ・・・君は休んだほうがいい。」
老人は寂しく笑った。
『 では 失礼します 』
「その前に・・・これを抜いてくれないか?」
老人は、視線を地に向ける。
彼の存命装置と思われる器具のコードが繋がっている。
『ーーーマスター』
「君は 私達に勝ったんだよ。どうか君の手で 私を楽にしてくれないか?」
『 かしこまりました 』
彼女は老人に近づく。
老人は 全てに納得したように 目を閉じる。
その顔は いつか隣に寄り添ってくれた顔。
彼女は コードに手をかけ
老人の腰から伸びるコンセントごと そのボディーから引き抜いた。
老人の顔は穏やかなままだった。
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