scene22-02

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「……そうか。確かに、親からしたらショックどころじゃないよな」 「えっと、俺だって、いつかは伝えなきゃいけないって思うよ? けど、自分たちのためじゃなくてさ、親を安心させるために言いたいってゆーか」  大樹が首を傾げる。負い目を感じている身としては、ピンと来なかったらしい。どう言えばうまく伝わるだろうかと考え、言葉を足すことにした。 「ほら、男同士じゃ結婚できねーじゃん? うちの親のことだから、ずーっと独身でいるのとか不安に感じるに違いないし」  少なくとも今の日本では結婚が許されず、家庭を築くことができない。  周囲が身を固めていくなか、自分はそういったものに縁のない人生を送ることになるのだと思う。自分の両親は、それを不憫に思わぬ親ではないはずだ。 「つまり、誠は」  大樹に頷いて、真っ直ぐに瞳を見つめる。そして……、 「『俺にも大切なパートナーがいるんだぜ。確かに人とは形が違うだろうけど、ちゃんと幸せだから安心してよ』ってさ。いつかきっと言うんだ。――だって、俺の幸せは俺が決めるんだもんね」
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