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口にした途端、胸に立ち込めていた靄が晴れて、相手を愛おしく思う気持ちでいっぱいになるのを感じた。
(な、な~んてクサかったかな!? さすがにこのロマンチストも……)
わたわたと考えていたら、不意に大樹の顔が迫ってきた。ほんの一瞬だけ唇が触れる。
「わかったよ。――誠のことは俺が幸せにする。お前が自信持って幸せだと言えるよう、責任もって一生面倒見てやるから」
この男は根っからのロマンチストであった。自分が言葉にした以上のことを真顔で返されては、もう顔を赤くするしかない。
「確実に、三度は体温上がった!」
「三度も上がったらヤバいだろ、バカ犬」
「い、言っとくけど、俺を幸せにってだけじゃ駄目だかんな。一緒に分かちあってくんなきゃ、意味ねーからなっ」
「何を言ってるんだか。俺の幸せはお前が幸せなことだ」
「っ!」
メロドラマのような台詞の連続に、何も言えなくなってしまう。それでいて、相手があまりにも嬉しそうに笑うものだから、お手上げだった。
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