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「っあ! あっ、ああッ」
「誠、キツすぎ」
「や、ぁっ……いじわるっ、大樹のいじわる!」
「可愛いお前が悪い」
乱れる誠の胸元に口づけ、強く吸いあげては鬱血の痕を残していく。
制服を着てこのような行為に及んだことはないのに、ふと既視感を感じ、そしてすぐに思い当たった。
合致するのは、頭の中で彼を汚していた過去。決して叶うとは思わなかった、醜い妄想の産物だった。
「大樹?」
少しぼんやりとしてしまったようで、気がつけば、誠がとろんとした顔でこちらを見上げていた。苦笑して、柔らかな頬を撫でる。
「好きだよ、誠」
それは長いこと言えなかった言葉だ。
今思えば、相手のことを考えているようで、自分が傷つくのが怖かったのもあったのだろう。
本当は臆病で卑劣なくせに、大人ぶってそのような自分を隠すのが得意になってしまった。独占欲だけではない、言えないネガティブな感情なんて山ほどある。
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