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「矢島君って昔っからそうよね。純情で一途でお人よし。だから2月14日に渡したい物があると言われたら舞い上がっちゃう」
亜里沙はずけずけと元彼を公開処刑する。
「お、お前だって後ろ髪をナデリナデリしてぇ~ってしょっちゅう強請っただろうが!」
「あら、ま」
図星を指された亜里沙が赤面した。
「痴話喧嘩は他所でやってくれ」
俺が語気を荒げた。
「で、本命チョコを受け取りに参上っと。色男」
「ダサ男だろ。亜里沙。そいでもって俺は覚悟を決めたんだ。束縛女に絡めとられちまったら添い遂げるしかないって」
矢島は目を潤ませた。
「夏美さんの事はどうして黙っていたの?」
亜里沙が核心を突く。容赦ねえな。
「隠すも何も本当に知ったこっちゃないからさ。第一、お腹の子をどうするか相談を持ち掛けてきたのは夏美なんだぜ。俺はあくまでSNSの恋愛相談で培った第三者目線でアドバイスした。だったよな?」
勉は恨めしそうな目で夏美を睨みつけた。任意のDNA鑑定で彼女の子と親子関係が否定されている。
しかし夏美と関わった事であらぬ疑いをかけられ酷い体験をした。
「アタシの事、今でも恨んでる?」
夏美は性懲りもなくモーションをかけてきた。こんなクズ女に靡く男がどこにいるのだろう。
「ねぇよ。とにかく話を戻そう。俺はありがとうと言おうとした。そしたら、急に発狂しやがってよ」
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