2話 エピローグ それからの賢者達

7/11
前へ
/134ページ
次へ
 「少し、宜しいですか?」  と喋りだしたのは、マリアさんだ。  僕とジョドーズさんは同時に振り向き、彼女に視線を向ける。  「出すぎた思いですが、私とジョドーズは、アニエス様を本当の孫のように思っています。」  と彼女はアニエスの頭に手を添え、ゆっくり優しく撫でている。  「私達、夫婦は子宝に恵まれませんでした。…二人で長年もの間とても悲しい思いでしたが、アニエス様が生まれて屋敷で過ごすようになってからは、世界が一変したようでした。」  それは優しい眼差しだった。例えるなら麗らかな日射しのような、気持ちが暖かくなるくらいの慈愛に満ちていた。  「アニエス様は見ての通りに人懐っこい方で、……屋敷の使用人にも分け隔てなく、接していました。それに私達は心が救われたのです。」  「……アニエスちゃん。」  「なぁに?」  「ジョドーズさんやマリアさんは、好き?」  「うん。…大好き!!」  アニエスは満面の笑みを浮かべた。  それを聞いて、僕は再びジョドーズさんに向き合う。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加