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「少し、宜しいですか?」
と喋りだしたのは、マリアさんだ。
僕とジョドーズさんは同時に振り向き、彼女に視線を向ける。
「出すぎた思いですが、私とジョドーズは、アニエス様を本当の孫のように思っています。」
と彼女はアニエスの頭に手を添え、ゆっくり優しく撫でている。
「私達、夫婦は子宝に恵まれませんでした。…二人で長年もの間とても悲しい思いでしたが、アニエス様が生まれて屋敷で過ごすようになってからは、世界が一変したようでした。」
それは優しい眼差しだった。例えるなら麗らかな日射しのような、気持ちが暖かくなるくらいの慈愛に満ちていた。
「アニエス様は見ての通りに人懐っこい方で、……屋敷の使用人にも分け隔てなく、接していました。それに私達は心が救われたのです。」
「……アニエスちゃん。」
「なぁに?」
「ジョドーズさんやマリアさんは、好き?」
「うん。…大好き!!」
アニエスは満面の笑みを浮かべた。
それを聞いて、僕は再びジョドーズさんに向き合う。
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