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「ジョドーズさん。……」
「はい。……」
「僕の師匠が言ってました。…子に勝る宝は無いって。…貴方はこの家で一番大事にしている宝を守ろうとしただけだと、僕は思います。」
「………。」
「だから、自分を責めないでください。…もし自分が許せないなら、残りの生涯をかけるのは彼女のためにして上げてください。」
ジョドーズさんは、ゆっくりと一礼をした。
顔はよく見えないけれど、すすり泣く音が聞こえている。
また微かに「わかりました。必ず……」と呟いているようだった。
その後すぐに、マリアさんが彼を扉の方へと連れて促していく。彼女なりにジョドーズさんに気を使ったのだろう。さすがは長年の夫婦だと思った。
「では、お二人はお食事の続きをどうぞ。」
と言ってマリアさんが戻ってきたら、
「そういえば、…アランさんは、今後はどうされるのですか?」
「え?…どうとは?」
「聞いた限りでは、自宅は焼失しているのでしょう。…行く当てとかはあるのですか?」
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