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僕は腕を組んで考える。特に考えてなかったな。
「えっと、とりあえずはどうしようかな?…また憲兵隊の宿舎にご厄介になるしかないのか?」
「それでしたら。…アニエス様。」
「どうしたの婆や?」
「アラン様に、しばらくこの屋敷で過ごして頂きませんか?」
「え!!?」
「いいの!!…婆や。」
「え!!?」
「アラン様はお家が無くて困っているようですので。…アニエス様からお誘いになってみては。」
唐突な展開に、僕は動揺する。
「あのですね、…いきなりは迷惑ではないのですか?」
「今の屋敷の主はアニエス様なので、私達は決定に従えますので。」
「いや、でも。…」
今度は僕が、何と言っていいかわからなくなった。
正直に言って嬉しい事であるが、急な事で頭が混乱する。
その時、僕の服の外が引っ張られた。振り向いたら、いつの間にかアニエスが袖を掴んでおり、こっちを上目遣いで見ており、
「お兄ちゃん…私、一緒に暮らしたい。…」
「駄目?」とさらに、少し首を傾げてくる。
あまりにも破壊力が強かった。
しかし、どうしようか悩む。だが、その間に彼女の表情が雲っていくのが見えたので、
「よろしく、お願いします。」
と、力なく僕は言ってしまった。あんなのに耐えれる筈がない。
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