2話 エピローグ それからの賢者達

10/11
前へ
/134ページ
次へ
 その日の昼が過ぎた頃。  西の森には眩しい日射しが照りつけ、爽やかな風が吹き行く。  あんな事件があった後だが、ここは普段と変わらずに平和で、美しい自然に囲まれている。  いつもいる滝の縁で、僕は正座しながらラグーのいる方を向き、朝の出来事を説明していた。  「…というわけなんだけど、…これから、どうしたらいいと思う?」  「ふ~ん。……」  だが対してラグーは地べたに寝そべりつつ、明後日の方を見ながら聞き流している。しばしば欠伸をしており、真剣には聞いていないようだ。  「良いのではないか?……」  「そうだと思うけど、……。」  「だったら、ワシに言う必要ないじゃろう。」  ふん、とラグーは鼻を鳴らした。  「…あの、ラグー?…なんか怒ってる?」  「別に~。」  「やっぱり怒っているじゃん!」  「違うわい。…だから、お主は何を気にしているのじゃ。」  「いや、……だってさ。…しばらくはとは言え、あんな屋敷で生活するんだよ。」  「じゃから?」  「怖いんだよ!…少し前まで極貧生活だったのが、部屋や食事が豪華で、家事の殆んどがメイドさん達がやってくれて!…なんか悪い事が起きるのかな?」  すると、またラグーは欠伸をしている。  僕は必死にすがりついた。  「ねぇ、さっきから話を聞いてる?!…真剣に聞いてよ、…こういう時はどうしたらいいの?」  「わかった、わかった。…なら、一言だけ言うからよく聞くんじゃぞ。」
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加