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その日の昼が過ぎた頃。
西の森には眩しい日射しが照りつけ、爽やかな風が吹き行く。
あんな事件があった後だが、ここは普段と変わらずに平和で、美しい自然に囲まれている。
いつもいる滝の縁で、僕は正座しながらラグーのいる方を向き、朝の出来事を説明していた。
「…というわけなんだけど、…これから、どうしたらいいと思う?」
「ふ~ん。……」
だが対してラグーは地べたに寝そべりつつ、明後日の方を見ながら聞き流している。しばしば欠伸をしており、真剣には聞いていないようだ。
「良いのではないか?……」
「そうだと思うけど、……。」
「だったら、ワシに言う必要ないじゃろう。」
ふん、とラグーは鼻を鳴らした。
「…あの、ラグー?…なんか怒ってる?」
「別に~。」
「やっぱり怒っているじゃん!」
「違うわい。…だから、お主は何を気にしているのじゃ。」
「いや、……だってさ。…しばらくはとは言え、あんな屋敷で生活するんだよ。」
「じゃから?」
「怖いんだよ!…少し前まで極貧生活だったのが、部屋や食事が豪華で、家事の殆んどがメイドさん達がやってくれて!…なんか悪い事が起きるのかな?」
すると、またラグーは欠伸をしている。
僕は必死にすがりついた。
「ねぇ、さっきから話を聞いてる?!…真剣に聞いてよ、…こういう時はどうしたらいいの?」
「わかった、わかった。…なら、一言だけ言うからよく聞くんじゃぞ。」
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