序章 賢者の手紙

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 水平線から太陽が昇る。  日の光が射し込むと、海面を磨いたように煌めかせている。   その近くの入り江に、一人の少女が現れた。  有りふれた容姿をした子である。サクサクと砂を踏みしめ、波打ち際に沿って歩いており、たまにしゃがみ込んでは、足下に落ちている貝殻や丸い石を拾っていた。  「あら?……」  ふと、少女は何かに気づいて足を止めた。  目を凝らせば、浅瀬に小さな物が浮いているのだった。  頻繁に訪ずれている少女にとって、とても珍しい出来事である。  すぐさま裸足になり、水の中へと踏み行っていく。  やがて踝くらいの深さのところで、漂流物を手にした。  それは、茶色く変色した紙が入った透明な瓶だ。  少女は蓋を開けて、中身を取り出すと、  「これは、……手紙?」  と呟き、首を傾げた。  全部で三枚の紙に、拙い字で書かれた文章が並んでいる。  その手紙には、このように記されていた。  
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