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「この手紙を読んだ人に、お願いがあります。
……もし何処かで、私の友人である「ラグー」に出会ったなら、私は……暮らしていることと、いつでも会いに来てよいと伝えてほしいのです。
……なぜなら、是非とも会わせたい子が出来、……
……彼女は見た目こそ大きくて怖いです。きっと、最初に見たら驚くでしょう。だけど根は優しく、人懐っこいです。
…身体中が翡翠色の鱗に覆われ、鋭い牙と爪が特徴的で、……
……特に話を聞くのは大好きでした。面白い事や奇妙な内容は、食いついて来る筈でしょう。
……彼女は人里を好まず、主に近場にある深い森の中の洞窟か、はたまた荒れ果てた遺跡に住んでいると思います。……」
後は、文字が掠れて読むことができない。
また所々の箇所が、欠損してしまっていた。
少女は手紙を丁寧に折り畳み、再び瓶にしまう。
そして小脇に抱えると、踵を返して、ーー
普段よりも足早に、自宅へと向かって走り出した。
もう入り江には、さざ波の音だけしか響いていない。
砂に残された小さな足跡も、打ち寄せる波によって、綺麗に消えてしまった。
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