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その昔、関東のさる国の山奥に猟師が住んでいた。
名を馬之助と言って偶に山道で旅人に出会うと、飛び道具の威力に物を言わせ、金品をゆすり取る悪党でもあった。
或る日、馬之助はいつものように猟をしていると、5羽目の兎を捕らえた時、青空にもくもくと黒い雲が湧き立ってきて辺りが俄かに薄暗くなった。
こりゃあ獲物が見づらくなるばかりか驟雨に見舞われるかもしれねえと馬之助が気を揉んでいるところへ剽軽な顔をした男が飄々と現れた。
「おみゃあさん、猟しとりゃあすか。」
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