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「俺、すっげー見るから、俺に見られてるって思ってやって」
「ちょっと……そういうの、やめてよ」
さきほどのやりとりを思い出したのか、再び望月の頬に赤みがさす。
「おまえのいやらしいとこ、俺がめっちゃ見てるからそれを意識しろ」
「だからさ……そんなこと言われたら恥ずかしくて、集中できなくなるじゃん」
「それがいいんだよ。じゃ、頑張れ」
それだけ告げると、大橋はカメラの後ろに、ちょうど望月の真正面にあたる位置に腰をおろし、あぐらをかいた。さきほどは横から眺めていたが、今度はしっかりと特等席だ。
「じゃ、始めるぞ。とびきり、いやらしくな」
その大橋の言葉に望月は困惑していたが、渋々、傍らに置いてあった黒縁メガネをかける。大橋はスマホのビデオを起動した。
「こんばんは……ソウです。よろしくお願いします」
さきほど撮影したときは澄ました顔で自己紹介をしていた望月が、見られていることを意識しているのか、今はおどおどしている。そんな望月の動作をひとつも見逃さないよう、大橋はまっすぐに視線を送る。
正面にいる大橋の視線から逃れるように、うつむいたまま、望月は下着の上から自分のそれを優しく下から上へと撫でる。布地の上からその形状に沿って、ときには握り込みながら、そのカタチが見えるようにしている。その穏やかな布地の膨らみが、平常時の柔らかさを伝えてくれる。
大橋は微動だにせず、その局部と望月の顔を交互に見比べる。ちょうど局部を見ている大橋の視線に気づいたのか、望月は顔ごと視線を背けた。その頬は大橋を意識してか、ほんのりと赤く染まり、口は一文字に引き結んでいる。それでも大橋は、見続けるのをやめない。
望月が局部を撫でる手が往復するうちに、徐々に布地の隆起はカタチを帯びてくる。やはり、望月は見られることで興奮するんだと確信した。そうでなければ、何もオカズなしに、勃起することは難しい。二回目だというのに、さきほどよりも早く反応したということは、明らかに大橋の目を意識している証拠だ。
「ふ……」
閉じられた口から望月の吐息が漏れる。撫でている指が先端をかすめると、先端の部分の布地にじわりと濃いグレーの染みが広がり、先走りが溢れ始めている。上を向いている望月の局部は、八割位は勃起していると思われる。
その状態を見計らって、大橋は固定しているスマホのカメラを起動させたまま、外した。取り外しの際に、画面が多少揺れたと思うが、このあと自由な画が撮れるとなれば、それくらいは見ている側も苦にならないだろう。
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