01:やるからには本気で

10/12

709人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
 大橋は望月の足先から脛、膝にかけて、ゆっくりと撮影し、下着全体を画面に収める。それを見計らってか、望月も下着の中に右手を差し入れた。 「んんっ……ふ…」  自分の触れた感触の、刺激が強かったのか、甘い声を漏らす。  そして局部を撮り続けながら、大橋は感触を味わい始めている望月の顔を至近距離で見つめた。 「ん……」  視線がぶつかると、見つめられていることに気づいたのか、羞恥からなのか、望月は顔を歪ませた。黒縁眼鏡の奥の瞳は不安げに揺れ、それでも茶色がかった黒目は大橋を捉えている。 ――すっげー見るから。  大橋は宣言通り、望月を見続けた。望月の左側から局部と顔の表情が映るようにカメラを構える。 「ふっ……ううっ…」  下着の中で膨れた局部を握りこんだ手はさきほどよりも激しく上下に動いている。先走りの液で濡れた手から、ぐちょぐちょと水音が部屋に響く。望月は、時折、大橋と目を合わせ、恥ずかしさからなのか、手の動きを止める。しかし迫る絶頂の気配を察した手は、再び、動きはじめ、望月はまた声を漏らす。快楽と理性が混ざり合っているのが見ていて感じ取れる。そんな望月を大橋は見つめ続けた。 「はぁ……あっ、ああっ…」  徐々に理性が遠のいているのか、望月は自分の吐く息で眼鏡が曇っても、構わず下着の中で手を上下に扱き続けた。欲望が冷静な判断をさせなくしているのがわかる。いつしかM字に開かれていた足は立ち膝の格好になろうとしていた。腰を起こして、膝をつくと、左手は下着の後ろから奥に向かって差し入れられる。下着の中で前の竿をしごいている右手と連動し始める。 「ふぁっ……はぁっ…」  左手はおそらく望月の後ろの蕾を刺激しているのだろう。画面には見えていなくても、望月の喘ぎ声の変化に、その動きを感じ取ることができる。膝をついて、背を反らし、大橋を肩越しに見つめるようにして、細められた目元に僅かな羞恥の色を残しながら、それでも望月は、まもなく迎える絶頂に向かい、自分自身を愛撫していた。 「あっ……アッ、イク……イッ…ちゃう…」  望月の絡みつくようなまなざしは、もうイキたい、出したい、と大橋に向けて乞うようだった。  全体図を画面に捉えながら、大橋は望月の目を見つめ、ゆっくり頷いた。言葉に出さずとも伝わった望月の願いに、いいよ、イケよ、めいっぱい出せ、と応えるかのように。 「アアッ……!」  背を丸め、体をびくんびくん、と大きく震わせる望月に、大橋はずっとカメラを向け続けた。息を荒げる望月がようやく顔を上げて、その目に冷静が戻ったのを見計らい、大橋はようやくカメラを止めた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

709人が本棚に入れています
本棚に追加