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「まぁ、おまえだから望月ちゃんも打ち解けたんだと思うぜ」
「どういうことだよ」
「大橋の天然たらしは、男女関係ないからな。おまえを狙ってた女はみんな言ってるよ。大橋くんはみんなに優しいから嫌だってさ」
「……うるせぇよ」
小島とは、大学も同じで付き合いが長いせいもあり、大橋の過去の恋人のことも、交友関係も知られている。小島の言う通り、天然たらしという言葉は、学生時代からずっと言われてきたことだった。女性に告白されると、そのとき恋人がいなければ特に断ることもせず、すぐに恋人同士になる。もとから男女問わず多くの友達には恵まれていて、そんな自分を理解して好きになってくれたと思っていたのに、恋人になった途端にそれが不満になるらしいのだ。
『私をほったらかして、友達と遊びすぎ』
『他の女の子と仲良くしないで』
そしてたいていは『私は大橋くんの彼女なのに、不安』と言われて別れを告げられる。
もちろん付き合っている相手のことはちゃんと好きになる。けれど、恋人ができたからといって、男女問わず友人と遊ぶことを控えないし、恋人と過ごす時間が自分にとっての最優先にもならない。それが女性には気に入らないらしいのだ。
そもそも恋人が男友人と二人きりで遊んでいても、それを咎めたりしないし、気にしない。そこは、寛容で、器の大きい男だと評価されてもいいくらいなのに、それが逆に、女性には不評らしい。
「なんでそれがダメなのか、わからん」
恋人ができると「優先してあげたほうがいいんじゃないか」と周囲から心配され、いつしか特定の恋人を作るのが面倒くさくなってしまい、半年前くらいに新入社員の女子に告白され、三ヶ月くらい付き合って結局、似たような理由でふられ、今はフリーだ。
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