02:人気投稿者の条件

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「本当さ、おまえって外見だけなら、イケメンの部類に入ってるくせに、中身が残念っていうか」 「あのなぁ、少しはオブラートに包んでくれよ」  しかし、小島の言うとおり、この外見は、見掛け倒しで、実際に付き合うと、恋人を大切にしないダメ男のレッテルを貼られてしまうのだ。 「逆に、恋人に対して、あいつは俺だけのものだ、みたいに思うこともないわけ?」 「ない……」  普段から友達との付き合いのほうが楽しく、モテたいと思う割には、実際の恋愛にあまり興味がない。思えば、誰かを自分から好きになったこともなかった気がする。 「見てみたいよ、おまえが嫉妬心むき出しにして、好きになる相手をさ」 「ははは。俺もそんな恋愛してみたいよ」  とはいえ、そんな機会は当分訪れない気がしている。望月の動画に協力すると決めてから、この週末はそのための準備に費やし、それは自分なりにとても充実していた。おかげで、仕事して、帰って飯食って風呂入って寝る、という平凡な日々が一気に色づきそうな予感がする。私生活が充実するってすばらしいなと思う。 「あと、無駄に巨根なのも残念だな」 「それ彼女いないこととは、関係ないだろ?」  これだから学生時代からの長い付き合いの悪友は困る。しかも、自分が巨根なのは、同期会で小島にバラされて、今では社内で周知の事実だ。 「あれ、望月ちゃんじゃね?」  視線を遠くに向けた小島に言われ、喫煙室を区切っているガラスの壁に目を向けると、きょろきょろと誰かを探しているような様子の望月がいた。見慣れているはずのスーツ姿が妙に新鮮に感じられる。今の自分はあのスーツの下の裸まで知っているなんて、なんだかおかしな気分だ。  そのままガラスに近づいた小島が、コンコンと叩くと望月がこちらを向いた。同時に、大橋の顔を見つけて、あっ、と驚いた顔をした。 「おまえを探してたみたいだぜ」 「マジ? じゃ行くわ」  半信半疑ながらも、大橋は持っていたタバコをねじ消す。 「ほとほどにしとけよ。おまえの天然たらしは、男女問わずソノ気にさせるからな」  小島に、ねーよ、と告げて外に出る。どうやら本当に望月の目当ては大橋らしく、律儀に喫煙室の前で、申し訳なさそうに待っていた。 「え、もしかして、俺探してた?」 「大橋くん、どうしようどうしよう。こんなこと、初めてで」  慌てた様子の望月は、慌てて飛び出してきたのだろうか。腕カバーをつけた姿で、指には紙をめくりやすくするリング型の指サックもついたままだ。そして、今は、きょろきょろと周囲を確認している。どうやらおおっぴらに話せる内容じゃなさそうだ。 「自販機んとこ、行こうか。俺も缶コーヒー買いたいし」  望月は、首を縦にぶんぶんと振って頷き、大橋について歩き出した。
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