01:やるからには本気で

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「で、編集の仕方教えてほしいって言ってたよな。それって局部消したりしたいわけ?」 「そう、だね」 「どのくらいのペースで投稿してる? これからも続けていくってことだよな。やっぱり視聴者増やしたいって感じ? それなら人気の動画とか参考にしたいから、それも教えろよ」 「ちょ、ちょっと待って」  昔、自分が動画を投稿していた頃を思い出し、思わず質問攻めにした自分を、望月が慌てて制した。 「なんだよ、善は急げだろ」 「その……とりあえず服を着させて」  いまだに全裸のままだった望月をみて、大橋は吹き出した。 「いつまで裸なんだよ。さっさと服を着ろ」 「大橋くんが、一気にまくしたてるから!」 「悪い、悪い。なんか楽しくなっちまって」  もう、と呆れ顔の望月が、やはり年相応の二十二歳の青年に見えた。  大橋の勤めているオーディオ機器会社は、社員数が多く、同期入社は二十名ほどいる。二年経って、すでに辞めてしまっている人間もいるが、同期の中でもムードメーカーである大橋が声をかければ、こうして集まってくれるほどには仲がいい。  もとから望月は同期の集まりには必ず出席してくれるものの、周囲に合わせて相槌を打ち、時には顔を緩ませる程度で、ただ同期だからという理由で付き合ってくれているんだろうと思っていた。  そんな望月とちゃんと話をしたのは、先週の同期の飲み会の場が初めてで、動画撮影の話題も偶然出たものだった。もとから大橋は面倒見がよく、幹事役も誰もやらないなら自分がやる、と手を上げてしまうほうで、こうした輪の中心になることが多かった。物静かな望月と比べると正反対の立ち位置だと思う。  あの日、そろそろラストオーダーの時間を迎えそうな頃、座敷の個室の片隅で、席を移動することなく、氷のすっかり溶けた烏龍茶を一人でちびちび飲んでいる望月を見つけて、大橋から声をかけたのだ。 「望月、飲んでる?」 「大橋くん?」  突然話しかけられて驚いたのか、望月は目を丸くする。
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