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「やめろっ!!止めてくれ!!」
手を翳された次の瞬間、その子供は、ガックリと顎を上げて、手足を弛緩させた。
母親の腕の中で、子供は精気のない瞳を見開いたまま、脱力の余韻にグラグラと頭を揺らしていた。
次に彼が、母親の額に手を翳すと、彼女は子供を抱いたまま、床の上にパタリと倒れ伏した。
言葉にならない旅人の叫びだけが、静まり返った堂内に響き渡った。
「なんてことをしたんだ!!あんな小さな子どもを!!」
「アンタ達は人殺しだ!!人を殺したのも同然だ!!」
旅人は、修道士達に引き立てられて行きながら、声を限りに叫んだ。
「アンタ達は、悪魔だ!人殺しだ!!」
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