第6話 遭遇 『ネズミの種族』

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第6話 遭遇 『ネズミの種族』

84cbb0b9-9d11-4c21-8eee-66f9a1f4357e  広場に戻ったオレは、そこにアイや、コタンコロ、イシカ&ホノリがいたのを見つけた。  「お部屋はいかがでしたか?」  「うん、変わらないままだった。ずっと管理してくれていたんだね。ありがとう。アイ。」  「そんな!もったいないお言葉!」  アイが本当に嬉しそうな顔をした・・・。本当に人工知能なのか? 肉体もあるので、人間とまったく変わりがないように思える。  「ま、とりあえず、飯でも食うか?」  「では、何か食べたいものはございますか? お目覚めになられてからの初めてのお食事ですから。」  「そうだなぁ、ラーメンとかもうないのかな・・・。っていうか、どういうメニューがあるの?」  「はい、この『霧越楼閣』には、農園がございます。マスターのお好みだったものはおそらく何でもお出しできると推測されます。もちろん、ラーメンもございます。」  「あー、コタンコロの農園か!? じゃあ、ラーメンは何ラーメンなのかな?」  「はい、醤油、豚骨、味噌、塩、魚ダシ、何をご準備させましょう?」  「ええー、本当に何でも作れちゃうんだ?」  「ええ、我が普段いる農園は、農園・森林の空間になっております。広さは東京ドーム5個分の広さがあります。そこで、あらゆるものを栽培しております。」  コタンコロが答える。ええ・・・と、そんな広い空間を、なぜ、オレの自宅内に作ったのかってことは、この際、もうツッコまないでおこう・・・。  「じゃあ、豚骨ラーメンで。」  「料理はワタクシが行いますので、しばしお待ちを。」  そう言って、アイが退席していった。  つか、超人工知能なんだから、なんかこう機械的にっていうか、料理マシーンとかあったりするんじゃないのか・・・。  「アイの料理も美味いのであるぞー。」  「アイは料理が上手いのだー。」  イシカ&ホノリがまたほぼ同時に喋った。  「上手いと美味いが、かかっているのか!?うまいっ!座布団1枚!!」  と、オレは思わず叫んでしまった。  「はーい。了解ですー。ジン様!」  と返事したかと思うと、ヒルコがあっという間に水色の豹の姿になって、走り出していったかと思うと、一瞬で戻ってきて、その口に座布団を咥えていたのを見て、オレは思わず叫んだ。  「いや、座布団って!! マジで持ってくるのかよっ!!」  「我も何かご主人様に役に立つことをせねばいけない・・・。」  とかコタンコロが言っちゃって悩んでるし。  「おお。ご主人様。我としたことが・・・。しばしお待ちを!」  とコタンコロはそのまま、アイの出ていった後を追いかけるようにほぼ飛ぶように行ってしまった。  その後、数分間・・・オレが何も言わずに、ヒルコをなでたり、イシカとホノリの歌を聴いたりしていたら、コタンコロが大きな大木を抱えて戻ってきた。  「イシカ、ホノリよ。これからテーブルを準備する。手伝い給え。」  「あーい。イシカは了解であるぞー。」  「ほーい。ホノリも了解なのだー。」  その後、コタンコロがその翼で大木をあっという間に切り刻み、何やら材木をいっぱい切り出した。  イシカとホノリがその材木をその側で、次々に組んでいき、あっという間に、大きな長テーブルと椅子が5脚ができた。  そこにコタンコロがその羽根を何枚か抜き、空中に放り投げた。  イシカとホノリがそれを掴んではつなぎ合わせ、なんと立派なテーブルクロスまで作ってしまった。    そして、オレが座っていた椅子の前に、さっき燃やしてしまったテーブルと全く同じものが出来上がってしまった。  「まさに、職人技だな!」  議長席にオレが座っている感じになっていた・・・。  すると、そこへちょうど、アイがお盆にラーメンを載せて戻ってきた。  つーか、インドのヨガの女性のように、お盆を器用に両手と頭の上にバランス良く保ったまま、しずしず歩いてきて、テーブルの上にラーメンが4つ置かれた。  合わせて、なんだか機械のパーツのようなものを2つ取り出し、イシカとホノリの前に置いた。  「へい、お待ち! 淡島家・特製のとんこつラーメン4丁と、機械のパーツ2丁、おまたせいたしました!」  アイがそう勢いよく言ったところで、オレは、あ、昔見た映画に『ラーメンと機械工場』っていうのがあったなぁと思い出してしまった。  「お・・・おぅ・・・。それ、どこで覚えたの?」  「もちろん、マスターの知恵の結晶が詰まった、『セラエノ図書館』でございます!」  そう言って目をキラッキラに輝かせているアイの前で、オレは、ああ、元ネタ、やっぱあのB級映画だと悟った。  ああ・・・オレの自室にあったものがすべて神聖視されている・・・。  まぁ・・・仕方ない。気にしないことにしよう。  「じゃ、みんな、席について一緒にラーメン、食おっか!」  「はい、かしこまりました!」 1d090e31-7c46-464f-b9eb-1c746e79545e  「う、うまーーーーーい!!」  「それは、よかったです。」  「おいしー!さっすが、アイだね。ご主人様の好物は全て用意できるようにって、めちゃくちゃ準備してたもんね。」  「え!? そうだったのか・・・。ありがとう、アイ。」  「そ・・・そんな!もったいなきお言葉です。ワタクシはマスターによって生み出されたもの。当然のことでございます。」  アイがなんだか照れた様子で答えた。  そして、ラーメンを食べ終わったところで、一息ついたところで・・・。  「マスター。この『霧越楼閣』100km四方を、スーパーナノテクマシンのカメラアイで調査完了いたしました。」  「うん、どうなってる?」  「はい。砂漠・・・でございます。周辺100km四方は、砂漠。見渡す限り、砂ばかりでございます。」  「えー。そうなのか・・・。近くに何もないのか。じゃあ、とりあえず、生き物を探すしかないかな。」  「あ、ここから西に40kmの地点に、ミミズの巨大化した生物、サンドワームを発見しました。今、狩りをしているようでございます。」  「狩り?・・・って何か襲われてるってこと?」  「そのとおりでございます。こちらに、その映像を映し出します。」  「うわっ!!」  目の前の空間に、草原だった空間が一瞬で砂漠に変わり、前の広い場所に、サンドワーム(?)と思われる、めちゃくちゃ大きなミミズのような生き物が、砂上を滑るように進んでいた!  「いやー、すごいな、まるで、この場にいるみたいだ。」  「はい。立体映像プラネタリウムでございます。」  なるほどねぇ。ホログラムってやつか。この技術は・・・オレが死んじまった時からかなり進歩してるな。  まるで、その場にいるみたいだ。巨大ミミズ・サンドワームは、その前を走る四足のラクダと馬の中間のような生き物を追っていた。  よく見ると、そのラクダウマ(今、オレが命名した)の上に、ネズミが乗っていた。  「あ、あれ? 襲われてるのって・・・ネズミ? いや、何か服着てるし・・・。ネズミ人間・・・みたいな種族か?」  「解析・・・致します。・・・・完了。はい、ネズミが人間型に進化した生き物と推測されます。あと、言語を喋っています・・・翻訳します・・・。」  「おお、頼む。」  「翻訳機能を、ご主人様に同期します。」  「助けて・・・カシム様のためにも・・・なんとか生きて帰らなければ・・・。」  そのネズミ人間は、そう言っていた・・・。  ネズミみたいだけど、言葉を喋っている・・・知能があるようだ・・・。  やっぱ、見過ごせないよな・・・。  「アイ!みんな!助けるぞ!」  「マスター、了解いたしました!」  「おおーーー!!」  一瞬で、巨大なフクロウに戻ったコタンコロの背中に、オレとアイ、ヒルコは乗った。  イシカとホノリは、そのまま、例の玄関から外に飛び出したかと思うと、  「フュージョン!!」  と叫んだかと思うと・・・なんとその場に、どこからともなく現れた巨大な機械のパーツがどんどん合体していき、巨大な全長100mの超巨大ロボット・・・つか土偶になった。  そして、そのまま走って、コタンコロについてくる。あれが『アラハバキ』か・・・。  「コタ!北に40kmの地点です。」  アイがコタンコロに声をかける。  「了解だ。全速で飛ぶとしよう。」  「マスター、ワタクシの側へ。」  とアイに抱きかかえられたかと思うと、コタンコロが一瞬で羽ばたき、滑空する・・・おそらくマッハは超えている・・・。  だけど、アイのまわりにその衝撃波は来ない・・・。ヒルコもアイもオレもコタンコロの上に平気で乗ったままだ。  (スーパーナノテクマシンにより、衝撃を受け流しております。)  なるほどね。だから、オレたちのまわりだけ衝撃が来ないのか・・・。  その後ろから、巨大な土偶型のロボット『アラハバキ』が、これまた超スピードで走ってくる。  そして、オレたちはあっという間に、サンドワームがラクダウマに乗って逃げているネズミ人間を襲わんとしている場所にたどり着いたのだった。 ~続く~ ※ラーメンのイメージ画像は、春陽軒さんの徳島ラーメンです。
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