幸せが増すごとに

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僕の学校の体育祭は、学年の縦割りでチーム分けされている。 3組なら、1年、2年、3年、それぞれの3組が同じチームだ。 全校生徒がグラウンドに集まっている。 これから競技前の、ラジオ体操が始まる。 普段は廊下ですれ違うだけの、一学年上のエミ先輩が、僕と同じ3組なので今日はすぐ近くにいる。 エミ先輩はきっと、僕の名前を知らない。 僕だって、廊下ですれ違っただけで勝手に憧れて、人伝に聞き回って名前を知るまでに、少し時間が掛かった。 話し掛ける勇気なんてなかった。 普段は所謂お調子者の僕が、人に話し掛けるのに躊躇する事があるなんて、自分でも思いもしなかった。 廊下ですれ違う度に、目で追ってしまう。 その度に、エミ先輩が気になっている事を知っている友人たちに、行け、と体を押し出され、冷やかされていた。
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