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「ホント、最近の技術ってスゴイよな。
写真データさえあれば、目の大きさや顔の輪郭も変えられるし、そこにある余計なものを消すことだってできるんだろ」
湊のスマホの中にも、友だちとふざけて撮った犬の耳や舌が顔に合成された写真がある。
「最近じゃタップ一つでAIがいい感じの写真に加工してくれるらしいぜ」
新しもの好きの蓮は、そう言ってApple Storeから様々なアプリを見せてきた。犬耳アプリを使いだしたのも蓮が最初だったりする。
「あんなんと一緒にすんなし。もーまじでない、全っ然違うから」
いつの間にかすぐ傍にぶすっとした顔の加菜絵が立っていた。今日の受付は終わったのか、取り巻きの女子たちは完成した写真を手に、各々友だちと盛り上がっている。
「最近の写真アプリもよくなってきてるけど、あんなの全然可愛くない。加工なめんな」
そう言ってずいと押し付けるように見せるスマホの画像フォルダには、たくさんの加工済み写真データがある。加工されすぎて、もしかしてあいつか、と頭を捻るような写真ばかりだ。
蓮はそれを見て「すげぇ」と言いながら楽しそうにスクロールしている。
見ているとわかるが、雰囲気がまるで違う写真が並んでいる。加菜絵のすごいところは人によって加工の仕方を変えるところだ。
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