ピンボケ短編版

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 ある寺に一通の手紙が届いた。  「和尚様!手紙が届きました」  「ほう、誰からじゃ?」  「それが差出人の名前が書かれていないのです。何時ものではないかと・・・」  「そうか・・・」  この寺では幾つもの呪われた品を清めていることで寺は有名である。その為なのか匿名でよく呪われた品が届く。故に自然とそう言う手紙関連と結論付けられる。  「さて、今回はどんなものかね?」  「開けてみます」  弟子はそう言い中身を開ける。そこから出てきたのは二通の手紙とピンボケした一枚の写真であった。  「ピンボケした写真のようですね」  「そのようじゃな」  弟子と和尚はピンボケした写真を覗き込む。  「手紙には何と?」  「はい」  弟子は手紙を読み始める。  『初めましてまずは匿名でこの様な物を送ることをお許しください。  このピンボケした写真は何なのかとお思いのことと思いますがこの写真には途轍もないものが写っているらしく如何やらその写真に写っているものが分かった者にしか呪いが降りかからないようなのです。  現に私には何が写っているかわからないために何も降りかからず写っているものが理解できた人たちに不幸が続き次々と倒れ最終的には亡くなっていきました。  その為今回依頼したいことはその写真を誰の目にもつかないように封印して欲しいのです。  この写真が見つかってからの経緯は数年前に亡くなった父の遺品整理の中から写真が出てきました。  最初は写真撮影に失敗したものか現像するのに失敗した写真なのかと思いゴミとして処分したのです。ですが、ある日ふと気がつくと捨てた筈のピンボケした写真が家の中にあったのです。  最初は妻が写真の中身に気づき顔を青くし「見たらダメ!」と急に言い出し肌身離さずになりそれから数日後に病に臥せり「この写真は中身を絶対に見ずに自分と共に燃やして」と言い残し亡くなりました。  私は妻の言う通りに中身を見ずに燃やしました』    「和尚様、一体どういうことでしょうか?」  一枚目を読み終え弟子は和尚に聞こうと手紙から目を離し聞く。  「ふむ」  「和尚様?」  しかし、和尚は弟子が見たことのないような難しい顔をしていた。  「確かに奇妙じゃ」  「何故燃やした筈の物がここにあるのでしょうか?」  和尚や弟子が奇妙に思ったことそれは、一緒に燃やしたであろう写真が何故か一緒に入っていることである。  「その手紙を読み進めれば分かるんじゃろう」  「そうですね。続きを読みます」  『何故燃やした筈の物がそこにあるのかと疑問に思われていることと思いますが私自身も分からないのです。  確かに妻の亡骸と一緒に入れ火葬した筈なのに・・・。  いつの間にか家に写真がありそして、妻の友人が丁度やってきた時に見つけたのです。そして、妻の友人はその写真に何が写っているのか分かったらしく顔を青くして家から出ていったのです。  数日後に彼女が亡くなったと知らせを受けました。いくら何でも異常過ぎると思い近くのお寺でお祓いをして貰おうと思い行きました。ですが、お祓いをしていた住職がお祓いの途中で倒れられ亡くなりました。  そして、そちらのお寺の話を聞き今回お送りしました。これが、今回の経緯です』  「なるほど。そういう事ならばすぐに封印するとしよう」  「それがいいでしょう」  和尚と弟子は直ぐに写真を封印し寺に戻り何時もの日課に戻るのであった。  だが、和尚達の知らないところで  「な、何で?確かに送ったはずなのにここにあるんだ!?」  写真を手に持ち一人の男性が声を上げていた。  「あ!!これは・・・まさか!?・・・グッ!!」  男性は写真を見て何かに気づいたが急に心臓が苦しくなり倒れこんだ。最後の力を振り絞り写真を見たときには手に持っていた写真が既に無くなっていた。
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