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不意に思い到って、周りをぐるりと眺めた。
異様な光景を収めているのではと思ったのだ。
この光景に出くわし、足を止める人々の表情や仕草を撮影して自主制作の映画の一コマにでもするのではないのかと。
映画や、漫画、小説といった、想像力の豊富さを売りにして人が所属するサークルには、時折本物の変人が存在する。
だから奇抜な演出でもって、何等かの意図を含ませたシーンをカメラに収めているのではと考えたのだが、それらしい人物は視界に入らない。
望遠レンズを使用しているのかと疑いが頭をもたげるが、そこまでする必要があるのだろうかと直ぐにかぶりを振って考えを捨てた。
もう一度、写真を大空に向けて投げてはかき集め、また投げる行為を繰り返す彼女を見る。
彼女を挟み、反対側に歩いて来た人物が覗き込んでいたデバイスから顔を上げると表情を引きつらせ足早に過ぎて行く。
彼女は行為を止めない。
一体全体、なにの表現なのだろう。
朗らかな表情からは、狂気も、白痴染みた雰囲気も感じない。
芝居染みた演技力を見せびらかす雰囲気も。
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