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ひとしきり、話終わり髪も乾かしてもらい更に寝室にも運んでもらった。
「ごめんな。千秋さんの命令だから」
申し訳なさそうに、雅良君は鎖をつける。千秋さんは、経過報告に千歳さんの所に行ってしまい部屋には僕と雅良君だけだった。
「ねぇ、雪也君。今日は、もう疲れていると思うから眠って。君の過去の話、今度ゆっくり聞かせてね。」
おやすみ、と言ってベッドから離れようとする雅良君の服の裾を僕は掴む。雅良君はびっくりしたように僕を見る。
「雪也君?」
「………げる。」
「え?何だって?小さくてよく聞こえなかったんだけど。」
僕は、雅良君にも聞こえるような声で言う。
「雅良君さえよければ、僕の過去を君に教えてあげる。ずっと隠していた過去。」
「体の方は大丈夫?無理しないで。」
「うん、大丈夫。長くなるけど聞いてくれる?」
雅良君は、入り口にあった椅子を一脚持ってきてベッドサイドに置き腰掛ける。
「うん、聞くよ。雪也君が話してくれるって言ってくれたから。」
僕は俯いて話しだした。
「僕の両親は、僕が18の時に交通事故で死んだんだ。でも、僕はーー」
そこで、僕は顔を上げて雅良君を見る。
「僕は12の時から、父親に犯されてたんだ。」
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